昨日、夫と一緒にブドウ狩りに行ってきました。我が家は高尾山まで20分ほど。八王子の中でも少し涼しい場所なので、秋の訪れを敏感に感じます。最近では高尾からトンボが降りてきて、風も急にひんやりしてきました。
私はフルーツが大好きなのですが、腎臓の状態もあり、いつか自由に食べられなくなるかもしれないという思いがどこかにあります。だから「今この瞬間を思い切り味わいたい!」という気持ちが強く、フルーツ狩りは私にとって特別なイベントなのです。
夫もそれをよく知っていて、春はイチゴ狩り、夏はブルーベリー狩りと、いつも楽しそうな場所を探して連れて行ってくれます。
今回訪れたのは埼玉県狭山市の農園。八王子のすぐ隣なので、車であっという間に到着します。細い道を曲がると視界いっぱいに広がるブドウ棚。紙袋に包まれた房が、ずらーっとさがっていて、足を踏み入れた瞬間にふわっとワインのような甘い香りが漂ってきました。
農園では4種類のブドウが収穫できるとのこと。幹に貼られた色付きテープを目印にして種類を判別する仕組みです。夫が一番楽しみにしていたシャインマスカットを探し、巨峰や「シナノスマイル」という珍しい品種も収穫しました。
摘みたてのシャインマスカットは、冷えていないのに果汁が口いっぱいに弾けるほどジューシー。巨峰は渋みと酸味が絶妙で、やっぱり王道の美味しさ。そして初めて食べたシナノスマイルは、巨峰の風味を残しつつも濃厚でまろやか。思わず「この味、クセになる!」と心の中でつぶやいてしまいました。
棚の下は葉が日差しを遮ってくれるので、秋風が心地よく通り抜けます。夫は背が高いので少しかがみながら歩き、私は「低くてラッキー!」なんて笑い合いながら、ブドウ棚の下を散策しました。
子育てを終えて、夫婦二人の時間へ
結婚してすぐに妊娠、年子で二人の息子が生まれた我が家は、長い間「父と母」としての日々を駆け抜けてきました。気づけば、夫婦というより「子育て共同体」。自分たちだけの関係を振り返る余裕もなく、20年以上が過ぎていました。
そして今、息子たちが独立し、家には夫婦二人だけ。逃げ場のない一対一の関係になったとき、あらためて「夫婦として心地よくいられる関係を築く」ことが大切だと感じます。
ご相談を受けるお仕事をしていると、時に私と同世代の方に、夫婦の夜の夜の営みがないんです、というお話を聞きます。それがないことが悪いことというか、愛情の循環がないように感じるからでしょうか。なんとかしたいと言われることがあるんですよね。私たちは完全なセックスレス夫婦ですが、私自身はそれを寂しいとは思いません。何かが足りないとも思いません。夫は「言葉で愛を伝える」タイプではありませんが、フルーツ狩りの計画を立ててくれる行動が、私には愛情そのものに感じられるのです。
車を運転して、行き先を探して、私が喜びそうな体験を一生懸命考えてくれる。その優しさと思いやりが、私にとっては何よりの「愛のシャワー」。私は、精一杯「ありがとう」と笑顔で返しますし、楽しみにしている気持ちや想いを言葉にして夫に伝えます。これでお互いに愛の循環があると感じられているから、私には十分なのです。
思いやりが循環する関係
夫婦は長く一緒にいるからこそ、感謝を伝えるのをつい忘れてしまいがちです。「分かってくれて当たり前」ではなく、「あなたがいてくれて嬉しい」「これがすごく楽しかった」と、言葉にして伝えることが大切なんだと、最近よく思います。
男性は、自分がしたことが相手に喜んでもらえることで、自分の存在価値を実感するのだそうです。だからこそ、私たち女性が素直に「ありがとう」を伝えることが、パートナーシップを支える大きな力になるだと思います。
昨日のブドウ狩りは、ただの外出ではなく、夫婦としての小さな冒険でした。笑い合いながら過ごす時間の積み重ねが、きっとこれからの私たちを育てていくのだと思います。
日常からほんの少し離れるだけで、思いがけない喜びが見つかるかもしれません。それが夫婦の様々な形を作ることになるなんてことも、あるかもしれません。